レポート

唐揚界動向レポート2022年7月〜9月

いつも唐揚げを揚りが唐ございます!

やすひさてっぺい です。

現在の状況を知ることで、未来を予測し、今の判断ができると考え、やすひさ個人として、日本唐揚協会会長として、考えられる内容をまとめて、四半期に一度のレポートとして提供します。

さて、今回は唐揚界全体の動向をレポートします。

はじめに

この記事は唐揚げに関わる人に向けた記事となります。

唐揚界の動向として、こういう方向に向かっているということ、そして、こうすればピンチをチャンスに変えられるのではないか?という現在唐揚店を営んでいる方へのヒントを提供している記事となります。

また、第二四半期での結果として10月発表データも含みます。

今回唐揚界で注目すべき記事は下記となります。

注目のニュース

食肉在庫量、8月末13.9%増 外食消費回復鈍く

2022年10月12日 20:49
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0728U0X01C22A0000000/

<全国から揚げ調査 2022>
から揚げが「好きなおかずランキング」3 年連続 1 位を達成!
年間総消費量も、コロナ禍前比約 150%と堅調(推計値)!

2022 年 10 月 3 日
https://www.nichireifoods.co.jp/corporate/company/research/pdf/release_karaage_2022.pdf

鶏肉輸入量2.2%減、10月予測 ブラジル産が押し下げ

2022年9月26日 20:52
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC224G90S2A920C2000000/

製粉各社、業務用小麦粉の価格を据え置き 23年春まで

2022年9月12日 18:10
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC125TC0S2A910C2000000/

中小飲食を買収 経験者の力で「店の味」承継
事業承継・日本の食をつなぐ② まん福HD社長兼CEO・加藤智治氏

2022年8月30日 11:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC16A6Z0W2A810C2000000/

唐揚げ1割高 外出再開、売れ筋は低カロリーのむね肉に

2022年8月31日 2:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC22B7P0S2A820C2000000/

唐揚界 冬の時代到来

コロナ禍での伸びは他の業界を寄せ付けないほど圧倒的だった唐揚げですが、唐揚げの仕入価格の高騰で唐揚店の利益を圧迫し始めています。

もちろん、他の飲食店なども同じ状況ではあるものの、唐揚各店舗に聞いてみると、鶏肉の仕入れ価格1kg350円〜500円で仕入れていた海外産鶏肉が、現在では600円〜700円と鶏肉の原材料費が約70%アップ、揚げ油も一斗缶3,000~4,000円だったものが6,000〜7,000円と50〜60%アップしています。

店それぞれが工夫をするタレなどの調味料なども値上がりしており、辛うじて、片栗粉などの価格は止まってはいますが、予断を許さない状況です。

どれくらい予断を許さないかと言えば、
例えば、今まで唐揚げ1個あたり100円、原価率30%で提供できていたお店を考えます。
100円の30%30円の原価として、50%〜70%アップ、仮に間をとって60%アップと考えても30円x6割アップ=48円となり、減価率48%へと爆上げしたことになります。
そんな状況であれば、唐揚店として月100万円売っていたお店だったとして、ざっくり原材料費30万円、家賃20万円、水道光熱費10万円、人件費20万円、手残り20万円の計100万円で運営なイメージだとしたら、原材料費48万円アップすることで、そのまま増えた分手残りが引かれ、2万円となり、商売としては成立できないくらいのダメージとなるわけです。

庶民に優しい、安くて美味しい唐揚げのイメージは、原価を販売価格に転化しづらい空気感があり、唐揚店の利益率にかなりのダメージを与えています。

不幸中の幸い、唐揚人気は今なお堅調

そんな中でも唐揚人気は未だに堅調で、好きなおかずランキング3年連続1位、年間消費量昨年対比150%と相変わらずの人気です。

人気があって、買う方も嬉しい、お店も利益があって嬉しいという好循環な状況だったはずなのに、現在の状況では、お店としては売れるけど利益が取れない、客寄せパンダ的な商品になってしまった感は否めません。

この状況を打破するには、お店としては何をする必要があるのでしょうか。

唐揚店復活のカギは?

唐揚店がやるべきことは、仕入値つまり原材料費を安くしないと運営ができません。
だからと言って、鶏肉を安く買うことは今のご時世なかなかできません。

そこでお店側がやるべきこと、できることは、いくつかあります。

部位の見直し

現在、唐揚げのメインはなんと言ってもモモ肉の唐揚げです。日本では特にそうなのですが、モモ肉の需要が圧倒的です。(因みに海外ではモモムネの値段も需要もそこまで変わりません)モモ肉メインだったラインアップに、まだ価格の安いムネ肉を使うことで、原価を下げることが可能となります。
もちろん、パサパサしやすいムネ肉ですので、いかにしっとりジューシーな状態にしていくかは研究開発が必要となりますし、お店の努力が多大に必要となることになりますが、これから直ぐに世界情勢が変わるわけでは無いことを考えると、ここは押さえておくべきポイントになります。

値段の見直し

部位を見直しても、やはり主力はモモ肉の唐揚げであると思います。
もちろんムネ肉の唐揚げが美味しくなって、ある程度お客様に受け入れらていたとしても、今までの人気商品が急に人気がなくなるなんてことは普通はありませんので、やはりモモが売れても利益が得られる様にする必要があります。もちろん、高すぎて手が出ないみたいな事態になったとしたら、庶民の味方としての役割で無くなってしまうので、価格を上げても良いギリギリの所を探す必要があります。

ラインナップブランドの見直し

今まで低価格の外国産唐揚げを提供していた場合、国産鶏肉との価格差がかなり縮んできています。そうなると、外国産を使うメリット、つまり安さがそこまでメリットにならくなってきたわけです。だったとしたら、モモやムネだけではなく、砂ずりや皮、ぼんじりなどの今までにない唐揚部位ラインナップを増やし、希少部位ならではの値付けをする。
また、外国産、国産、ブランド鶏など、肉の品質によるラインナップを増やすことで、お店の中でも廉価品と高級品を差別化し、なるべく安くて美味しいものから、高くても美味しくて良いものを買いたいというお客様にも、幅を持って訴求することで、適正価格でも利益を得られる可能性が出てきます。

その他にも、細かなできることはいっぱい考えられますので、諦めずに頭を捻って、お客様の為に頑張って欲しいと思います。

最後に

日経ニュースやリサーチなどの結果を踏まえ、やすひさとしてのレポートを書いてみました。

もし参考になったら幸いです。

なお、唐揚店経営者やこれから飲食店経営をしたいという方に役立つ「からあげフランチャイズマガジン」というもので連載をしております。

そちらも併せてお読みいただけると、より有意義な情報として体系化できると思いますので、よかったらご一読ください。

https://karaage.ne.jp/franchise/contents/

ABOUT ME
やすひさてっぺい
一般社団法人日本唐揚協会会長兼理事長。ケーアールジー株式会社代表取締役。1996年 学生時代にITで起業し、WEB制作、アプリ制作、システム開発など多岐に亘る仕事の傍、唐揚げが好きで「唐揚げ唐揚げ」言い続け、現在20万人の会員を有する日本唐揚協会を創設。唐揚げに関わるコンサルティングやITを活用したコミュニティ構築、協会構築の応援をし続けている。